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過去3回ほどでしにっきで忠臣蔵を取り上げましたが、その時は担当さんによるネーム確認をすっ飛ばし、桑さんにのみ確認してもらって進めます。オールリアル絵は時間がかかりすぎるので、担当確認は完成後に後回ししないと間に合わないのです。まあ今回のもふつうに間に合いませんでしたが。

ネームができたらパソコン持参で桑さんに会い、見てもらい、細かい相談して作画に入ります。で、完成した原稿をサト氏が読んで、わからない表現や違和感があったら修正するといった流れですねー。よく考えたらものすごいイレギュラーな回ですね。

桑さんとする相談の内容は時代考証や表現の折り合いが多いです。

「二人称は”そち”、”その方”、”そなた”、どれがふさわしいでしょう」

「瑤泉院が大石内蔵助を呼ぶ時はなんて呼ぶ?」

「お白洲での利兵衛は縛られているかいないか」

「お奉行さまのそばにいる人(与力)の恰好は羽織に袴?着流し?」

「付き人はどの位置でお奉行さまや内蔵助を待つか」 …etc

桑さんは舞台や時代劇などの知識から、私は詳しくないマンガ家視点から、どう表現すると正しく、かつ違和感なくできるかを探っていきます。

そうなると当然、無視する考証もあったりします。今回ぼかしたのは利兵衛の妻、スエの歯ですね。当時の既婚者は剃り眉に鉄漿(おはぐろ)が普通でしたが、もう絵のインパクトで男でござるが吹っ飛ぶわ!ということで口は普通の色にしてます。剃り眉は、ちょっと眉描き忘れてすっぴんやわ、程度…

時代物って大変やなあと描くたびに思いますね。でもいつもと違う作業なので気が引き締まる部分もあります。表情が使えるのもリアル絵の良さですねー。

さーて、来年は何描こっかなー。